京都「祇園」の真んまん中にある建仁寺。
周りの喧噪が信じられないほど落ち着いた空間が広がる寺院です。
京都最古の禅寺である建仁寺。
見どころはその歴史だけではなく、枯山水の庭や茶室、襖絵など忙しい日々を生きる現代人が安らぎを感じる空間がそこかしこにあるところ。
今回の投稿では心からリラックスしたい人向けな建仁寺の魅力をお伝えします。
建仁寺の概要
1202年、栄西(ようさい)禅師によって開山された京都で最古の禅寺です。
・ちなみに日本最古の禅寺は福岡にある聖福寺(1195年おなじく栄西創建)
栄西(ようさい)禅師は中国から茶種を持ち帰り、日本で栽培を勧め、喫茶の方法を普及した人物としても知られています。
(建仁寺境内には茶室もあり。後述します。)
建仁寺の境内には数多くのお堂や支院がありかなり広いですが、拝観可能な箇所は以下の箇所のみ。
- 本坊
- 方丈(茶室など含む)
- 法堂
とはいえ、これだけでも見ごたえたっぷりで拝観料が安く感じるほど。
季節を問わず美しさを感じられる建仁寺の境内。
順番に見どころ&魅力を紹介します。
建仁寺
拝観時間:10:00-17:00
拝観料:600円
https://www.kenninji.jp/
まず最初に見られる大作「風神雷神図」
拝観手続きをする本坊を入るといきなり大作に出会えます。
俵屋宗達作、国宝「風神雷神図屏風」。
落款も印章もないけど、宗達作であることは疑いようがないとのこと。
ちなみに通常展示されているこちらは高精細デジタル複製作品です(本物は京都国立博物館所蔵)。
なので写真撮影することは可能です。(フラッシュ禁止)
2枚の写真はコラージュしてしまったので分かりにくいですが、風神は左端に雷神は右端に描かれ、屏風にはかなりの空間(=余白)があります。
余白があることでよりダイナミックな動きを感じる素晴らしい作品となっています。
落ち着く禅庭「潮音庭」
建仁寺本坊の中庭である「潮音庭(ちょうおんてい)」。
中央に三尊石、その横に坐禅石を組み、まわりに紅葉を排した四方正面の禅庭です。
どの角度から見ても美しい、そして眺めていると心が落ち着いてきます。
背後にある軒(のき)がベストポジション。
ベストポジションに腰掛けるとこのように庭が見えます。
潮音庭の中央にある三尊石(後ろ側の3つの石組み)と手前は坐禅石。
三尊石とは仏像の三尊仏のように、中央に大きな石を、その左右に小ぶりの石を組む庭造りのスタイルです。
水墨画のような襖絵
本坊にある襖絵。
海北友松(かいほうゆうしょう)という絵師による山水画です。
モノクロで余白に美を感じる水墨画。禅と山水画というのはいい組み合わせだと感じます。
他にも「雲龍図」「竹林七賢図」「花鳥図」があるのでお見逃しなく。
方丈前の枯山水庭園「大雄苑」
本坊の横にある方丈。
方丈の前には枯山水庭園「大雄苑(だいおうえん)」が広がっています。
白砂が一面に敷き詰められ、端の方に少しだけ緑苔と巨岩、松の木があるこちらも空間(=余白)が重要な庭。
瞑想するのに最適な環境。
個人的には大雄苑を眺めていた時間がいちばん心落ち着き休まりました。
ここではしばし時間をとって心を無にしてみることをおすすめします。
日頃の疲れが多少は取れることでしょう。
風情のある茶室「東陽坊」
2度目の拝観時に発見した茶室「東陽坊」。
最初見つけられなかったのは、方丈の西側から庭に降りることができる箇所があることを知らなかったから。
枯山水庭園「大雄苑」を眺めた後はぜひ入ってきたところの反対側に行き、庭に行ってください。
通路にしたがって歩いていくと上の写真にある風情ある門が目に入ります。
残念ながら茶室の中には入れません。
ただ茶室の庭の落ち着いた佇まいを目にするだけでも心洗われるので茶室まで足を運んでみてください。
法堂にある必見の「双龍図」
方丈の南にある法堂(はっとう)。
法堂には圧倒されるダイナミックな双龍図があります。
双竜図は2002年の建仁寺創建800年を記念した作品。
作者は小泉淳作氏。まさに圧巻!
2頭の龍の迫力が天井から伝わってきます。
寺院にある芸術作品としてはかなり新しいものになりますが、もう長年そこにあったかのような雰囲気があります。
同じ禅寺である妙心寺にある雲龍図は撮影できませんが、建仁寺の双竜図は写真撮影可能。
懐深いです、建仁寺!
建仁寺ご本尊も撮影可能
同じ法堂内には建仁寺の本尊である釈迦如来座像が祀られています。
京都の寺院に関わらず、本尊である仏像は多くの寺院で撮影禁止。
ところが建仁寺では問題なく撮影できます。
素晴らしい建仁寺!
なんだか釈迦如来像がさらに神々しく見えます。
まとめ:京都最古の禅寺「建仁寺」の魅力
心からリラックスしたい人向けな建仁寺。
その中でも特におすすめな箇所が方丈前にある「大雄苑(だいおうえん)」。
本坊にある潮音庭(ちょうおんてい)も心落ち着きます。
建仁寺はパンフレットもサイトも見やすいつくりで理解しやすいのが嬉しい。
そして写真撮影に関してもおおらかな姿勢というのもありがたい。
素晴らしい禅寺です。
最後にパンフレットにあった言葉を引用します。
大いなるかな 心(しん)や
開山した栄西禅師の言葉で
「人のこころは本来自由で大らかである」
という意味です。
学びの多い建仁寺です。ぜひ拝観してください。