京都市北部にある大徳寺。
臨済宗(=禅宗)大徳寺派の大本山でとても規模の大きい寺院です。
大徳寺の本坊は一般公開されておらず、わたしたちが拝観できるのは境内にある24もの塔頭(たっちゅう)の中の一部だけ。
本投稿では、大徳寺塔頭のうち、常時拝観できる「瑞峯院(ずいほういん)」と「高桐院(こうとういん)」の2寺院をご紹介します。

大徳寺の概要
大徳寺は鎌倉時代末期1315年に宗峰妙超禅師が開創した寺院です。
重厚な法堂や仏殿を有し、24もの塔頭が立ち並ぶ京都の中でも有数な規模の禅寺。
ちなみに塔頭とは禅宗寺院(臨済宗と曹洞宗)祖師や高僧の死後、その弟子が師を慕い、寺院に寄り添って建てた塔や庵などの小院のこと。
(Wikipedia塔頭より)
室町時代には応仁の乱で一旦荒廃した大徳寺を一休和尚が再興。
桃山時代には豊臣秀吉が織田信長の葬儀を営み、信長の菩提をとむらうために総見院を建立。
それを機に戦国武将の塔頭建立が相次ぎ隆盛を極めたという歴史があります。
24の塔頭の中で常時公開されている塔頭は、以下の4寺院のみ。
- 龍源(りゅうげん)院
- 瑞峯(ずいほう)院
- 大仙(だいせん)院
- 高桐(こうとう)院
その他、いくつかの塔頭寺院が春または秋(もしくは春秋共に)の期間限定で拝観可能になります。
(例:興臨(こうりん)院、真珠庵、総見(そうけん)院、黄梅(おうばい)院など)
写真撮影目的で大徳寺の塔頭を拝観される方への注意点
常時拝観できる「大仙院」では庭園を含めた入り口以降の写真撮影は禁止されています。
春と秋に特別公開される「黄梅院」は前庭のみが写真撮影可能。
大徳寺へのアクセス
バス:京都駅から京都市営バス101/205/206号系統「大徳寺前」下車
地下鉄:京都駅から地下鉄烏丸線の北大路駅下車 徒歩15分 or 市バス204/205/206号系統「大徳寺前」下車(約9分)
これ以降、大徳寺塔頭でおすすめの2つの寺院「瑞峯院」と「高桐院」の紹介となります。
フレンドリーなご住職がいる瑞峯院
九州のキリシタン大名として知られる大友宗麟が1535年に菩提寺として創建した瑞峯院。
本堂(方丈)、唐門、表門は全て創建当時のもの。
方丈を中心とした3つの庭はいずれも昭和の作庭家・重森三玲によるもの。
重森三玲はモダンな枯山水庭園のデザインが得意で他に有名な作庭作品として、東福寺の方丈庭園や高野山子院の福智院庭園があります。
中に入り受付を済ませると、ちょうどご住職の方が受付付近にいらっしゃって、あれこれ瑞峯院のことを説明してくださいました。
おそらく夫(=外国人)を見て、彼にもちゃんと禅の心を理解してほしいからお話してくださったのかと思われます。
夫にとって何よりも嬉しかったのは、
「気兼ねなく写真撮ってくれていいからね〜。」とフレンドリーに言われたこと。
写真撮影に対してきびしい態度の寺院が多い京都において、瑞峯院は貴重な寺院です。
ご住職の対応のおかげで瑞峯院に対する印象がさらに良くなったことは言うまでもありません。
すばらしい瑞峯院の庭園や茶室をご覧ください。
方丈の南側、蓬莱山式庭園と呼ばれる「独坐庭(どくざてい)」。
大海の絶え間ない荒波に打ち寄せながらも雄々と独坐している大自然の活動を表している枯山水庭園。
低い位置から見ると砂でできた波の高低差を感じます。
方丈の西側にある茶室「餘慶庵(よけいあん)」。
餘慶庵前の茶庭。
方丈の北側の枯山水庭園は「閑眠庭(かんみんてい)」。
キリシタン大名であった大友宗麟の思いを反映した作りとなっています。
写真上部に見える3つの石が横線。
写真中ほどに見える3つの石から上部の真ん中に位置する石を結ぶ縦線。
これで十字架を形作っているのです。分かりますか?
閑眠庭の横にある茶室「安勝軒」。
中庭にあるキリシタン灯籠。
通常の灯籠は台座がありますが、キリシタン灯籠は地面に直接埋め込んで建てるのが特徴とのこと。
十字架を刻んだ庭や灯籠がある瑞峯院の庭園は他では見られないユニークな庭園です。
ユニークなだけでなく、どこをどう切り取っても寸分の狂いもない完璧なデザインとメンテナンスの行き届いた庭や建物。
ため息ものの美しさ。
ご住職をはじめ、禅の心を理解したスタッフの方の毎日の営みを感じられる寺院です。
京都市北区紫野大徳寺町81
拝観時間:9:00-17:00
拝観料:400円(2015年時)
青もみじが美しい高桐院
大徳寺で通常公開されている塔頭でもうひとつおすすめなのが「高桐院」。
1601年細川忠興によって創建された高桐院は、昔「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンで取り上げられてから長年行ってみたかった寺院でした。
茶人としても知られた細川忠興。
高桐院には「松向庵(しょうこうけん」と呼ばれる茶室もあります。
また境内には細川忠興とガラシャ夫人(明智光秀の三女)の墓もあります。
方丈前にある南庭。
この時は6月だったので青もみじがまぶしいほど美しかったです。
もみじは紅葉時期だけでなく、青もみじの時期も素敵ですよ!(紅葉時期ほど混まないのもいい)
秋は南庭がもみじのじゅうたんとなる晩秋が特におすすめ。
わびさびの世界観を感じる空間。
高桐院の参道。
逆光で真っ暗になっちゃいましたが、ここも素敵な空間です。
参道の雰囲気だけで中がすばらしいことを感じませんか?
京都市北区紫野大徳寺町73-1
拝観時間:9:00-16:00
拝観料:400円(2013年時)
高桐院は2021年現在、修復工事のため拝観が中止されています。
2022年(正確な時期は未定)に拝観が再開予定。
まとめ:大徳寺で拝観したいのは「瑞峯院」と「高桐院」
京都市北部にある大徳寺の塔頭「瑞峯院」と「高桐院」を紹介しました。
京都駅からバスで35-40分ほどかかりますが、落ち着いたエリアで枯山水庭園や茶室、もみじなどを静かに観覧することができるのでおすすめです。
大徳寺へ行ったら、同時に今宮神社とセットで参拝してほしいです。
今宮神社は玉の輿神社とも呼ばれ、それにあやかることができるかもしれないお守りもありますよー。
そしてその後に「あぶり餅」を食べる!
大徳寺と今宮神社、あぶり餅コースは半日あれば充分周遊できます。
