2013年6月に行なった四国遍路。
当初は四国の海岸線を単純に周遊するという予定でした。
ところが、徳島・高知と移動するにつれ、どんどんお遍路さんにのめり込んで行き、時間の許す限り88箇所参りをしよう!という旅に変化して行きました。
その時は88箇所のうちの60箇所を拝観。
歩き遍路でもなく、
遍路服である白衣を纏っていたわけでもなく、
あくまでわたしたちらしく写真を撮りながらのお遍路さん。
今回の記事では実際に拝観した愛媛県内の札所をエピソードと写真付きでお伝えします。
愛媛県(伊予)は菩提の道場
高知県(土佐)と同様、愛媛県も横に長い県で、霊場は端から端まであります。
ただ、松山市や今治市ではお寺同士が近いので1日で多くのお寺へ行くことができ、達成感を感じやすい。
高知県でのお遍路さんほどのキツさは感じません。
愛媛県(伊予国)の霊場は「菩提の道場」と呼ばれています。
菩提とは一般的には「悟り」という意味。
が、「旅ネット四国」さんの解釈だとこう書かれています。
菩提と言うのは道であり、知であり、覚であると言われています。
あらゆる煩悩を断ち切り、不生、不滅の理を悟って、初めて得る仏果なのです。
発心の道場、修業の道場を経て、ようやくここにたどり着くと言う訳です。
ちなみに発心(ほっしん)の道場とは、徳島県の霊場のこと。
修行の道場とは、高知県の霊場のことです。
愛媛県内の26箇所参り
愛媛県内では26箇所中、拝観できたのは16箇所。
お参りした順番は番号順ではなかったですが、ここでは番号順に霊場を紹介していきます。
40. 観自在寺(かんじざいじ)
写真はないんですが、愛媛最初の観自在寺では納経所の僧侶の方がとても楽しく話がはずみ、あれやこれやお遍路情報を教えていただきました。
また松山大学の学生さんたちが制作したという周辺のパンフレット(裏面には英語の説明有)もくださいました。
こういった個人的な関わりがあるとお寺自体もとても印象に残ります。
入口近くに「八体仏十二支守り本尊」という石仏が並んでたんですが、写真撮らなかったのが悔やまれます。
41. 龍光寺(りゅうこうじ)、42. 仏木寺(ぶつもくじ)、43. 明石寺(めいせきじ・天台寺門宗)は拝観せず。
44. 大寶寺(だいほうじ)
88箇所参りのちょうど真ん中に当たる大寶寺は標高490mの高原にあるいわゆる山寺。
訪れるのは大変だけど、人里離れたところにある寺院というのは独特の雰囲気があって魅力的。
大寶寺の山門も味があります。
45. 岩屋寺(いわやじ)
岩屋寺は内陸部の標高700mのところにあり、車で行くのも大変でした。
駐車場に車を停め、歩き出してからもかなりの石段を登らなくてはならない体にこたえるところ。
写真は大師堂奥にある仁王門。
雰囲気はとてもいいです。
本堂に覆いかぶさるようにある岩肌。
寺院名どおりの険しい山中にある修業するにふさわしい霊場です。
また山門から長く続く石段沿いには無数の地蔵が並んでいます。
大変な思いをして辿り着く寺院には圧倒される力を感じます。
46. 浄瑠璃寺(じょうるりじ)
境内にあった仏足石が印象に残っています。
仏足石とはお釈迦様の足跡を石に刻んで信仰の対象としたもの。
日本各地にあるとのことですが、わたしは四国で見たのが初めてでした。
仏像とは異なるけど、あちこちの仏足石を被写体にするのも面白そう。
47. 八坂寺(やさかじ)
こじんまりした境内で印象に残ったのは、この妙に太いお線香。
通常、お遍路さんたちは細いよく見るお線香を3本立てて、お経を唱えているのでこれはお遍路さん向けではなく、一般参拝客用のお線香だと思われます。
48. 西林寺(さいりんじ)
眩しいぐらいに晴れ渡った日にお参りした西林寺。
納経所前の庭園が美しかった記憶があります。
49. 浄土寺(じょうどじ)はお参りして御朱印ももらいました。
写真はないけど仏足石が印象的でした。
50. 繁多寺(はんたじ)
寺院に入る前に見えた池の奥の竹林が一番印象に残っていて、肝心のお寺はどうだったのか?
残念ながら覚えがないです。
51. 石手寺(いしてじ)
道後温泉からもそう遠くはなく、泊まるホテルによっては徒歩で訪れることもできる石手寺。
便利なロケーションにあるため、観光寺院の様相もあります。
また雑然とした境内で巡礼の雰囲気はあまり感じられないな、と思いきや。
本堂の裏手あたりにマントラ洞という洞窟があり、洞内を通ることで四国88箇所巡りが出来るようになっています(写真下がその説明看板)。
夫(写真家)だけが中に入りました。
(入場料は手前の箱に100円入れるようになってます。)
彼の感想は「なんかパワーを感じた。」とのこと。
中は電気もなく真っ暗なようですが、スピリチュアルパワーを感じることはできるようです。
52. 太山寺(たいさんじ)
境内に向かう途中で見かけた太山寺に関連する建物。
太山寺を出てすぐの場所に自宅前の空間をお茶屋さんにしてらっしゃるところがあったので、ちょうど喉がかわいていたこともあり入ってみました。
ここでは愛媛名物のみかんジュース(100円お菓子付:当時)をいただきました。
オレンジジュースじゃなくここではみかんジュース。
四国のコンビニでは「ポンジュース」をよく見かけたのも記憶にあります。
お店の女性とお話させていただき、お遍路さんのことをいろいろ伺うことができました。
例えば、お遍路さんは春・秋が数的には一番多いけど、特に歩き遍路さんはより条件的に厳しい夏や冬を選んで周る人も多いとか。
また歩き遍路さんの中には御朱印を集めるのは二の次で自分のペースで周ることを第一にして、お寺の開門時間(7時から17時)は全く気にせず周る人も多いとか。
以前はお遍路宿をしていた自宅を今はお茶屋さんとして利用されている物腰の柔らかい女主人。
夫とフランスから来たことを話すと、
「私は逆にフランスの城めぐりがしたいのに~!」
と、わたしたちのことを不思議がっていましたが、
「ここでお茶屋をしていることでいろんな国の人と巡り会えて楽しい。」
ともおっしゃってました。
ここでみかんジュースをいただいてお話ができて楽しいひと時を過ごせてよかったです。
53. 圓明寺(えんみょうじ)
寺自体は特に印象に残ることはなかったんですが、境内で見つけたポスターに書いてある言葉が印象的でした。
54. 延命寺(えんめいじ)は拝観し、御朱印ももらったけど、写真なし、記憶なし。
55. 南光坊(なんこうぼう)、56. 泰山寺(たいさんじ)、57. 永福寺(えいふくじ)、58. 仙遊寺(せんゆうじ)、59. 国分寺(こくぶんじ)は拝観せず。
60. 横峰寺(よこみねじ)
こちらの横峰寺へ行くのは本当に大変でした。
途中で料金所を通過しなくてはならず(1800円:当時)。
そこから山登りして境内のある標高750mまで行きます。
到着するまでどうなってるの?と不安になったけど、やっぱり山の上にある寺院というのはいい。
写真は山門の様子。お遍路さんの中では珍しくお金のかかる寺院でした。
61. 香園寺(こうおんじ)は拝観したんですが、お寺らしからぬモダンな様子で写真的に惹かれることがなかったので御朱印もらって終了。
62. 宝寿寺(ほうじゅじ)も拝観&御朱印のみで終了。街中にある寺院というのはあまり惹かれるものがないことが多かったです。
63. 吉祥寺(きちじょうじ)と65. 三角寺(さんかくじ)は拝観せず。
*2017-03-22追記*
62番札所である宝寿寺は2017年3月22日高松地裁丸亀支部にて四国八十八ケ所霊場会からの脱退を認められた、とのこと。
霊場会からの脱退のみで、88箇所からの脱退ではないと思われます。
詳しくは、以下の記事にまとめています。
64. 前神寺(まえがみじ)
山岳信仰の山のひとつである石鎚山(いしづちさん)の麓にある前神寺。
写真はお滝不動尊。
丸く光るものが見えるかと思いますが、これは全部1円玉。
1円玉を投げつけて岩肌にくっつくと御利益があると言われているからか、大量の1円玉が張り付いていました。
まとめ:山寺が多い愛媛の四国遍路
仏足石と山寺が多い印象が残った愛媛県「菩提の道場」編。
愛媛県内では26箇所中、拝観できたのは16箇所でした。
印象に残っているのは、以下の3寺院。
- 45. 岩屋寺
- 51. 石手寺
- 52. 太山寺(休憩時の会話)
四国遍路は歩かないといけない、なんてことはありません。
わたしたちのように車遍路の人もたくさんいます。
一度に88箇所を周る必要はありません。
巡礼の仕方にルールもありません。
自分のペースで周ればいい。
若さも必要ありません。
何歳からでも思い立った時が四国遍路をする時です。
服装も白装束を着る必要はありませんが、最低限必要なのは、以下の2つです。
歩きやすい質のいい靴
御朱印帳